2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

コーヒーブレイク その9

何度か絵里香と小田が会っていたという事実に、佐和子は動揺した。 「えと・・・それは絵里香と小田くんがつきあっていたということ?」 「あ、誤解を生むような言い方でした? いえ、そういうのじゃなくて、ただ会って話をしたというか。 絵里香さんが僕に…

兄に捧げる詩(うた)

時空を超えて、私の脳裏に点滅する風景 風わたる稲穂の向こうに見える、 なだらかな山々 あの山は兄妹なの そちらの山は夫婦の山なの今もそのやまなみは在って 私たちの記憶をくすぐる火が放たれた草原 燃えるなかで 記憶が消える 青い唐草の文様に光差し 遠…

コーヒーブレイク その8

佐和子は目を伏せて考えていたが、何か思いついたのか硬い表情が一瞬ゆるんだ。 周囲に聞こえないように、メニューで顔を半分隠しながら抑えた声で小田に言った。 「ね、小田くん。ここは職場だからあまり込み入った話はできないでしょう。今日、終わったら…